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ARAグランドフィナーレ

Last-modified: 2015-06-20 (土) 22:11:50

――冬。ゆらゆらと暖炉の火が部屋を暖める中、老婆のエルダナーンとハーフであろうヒューリンの幼い少年がソファに並んで座っていた。
助成の手元にあるのは一冊の本…今では少しは知れた物語の1つ。
「…そして、剣聖カズミはついに魔神を斬り倒し、世界の危機を救ったのでした…」
老婆は手にした本を読み終えると、パタンと閉じてかけていたメガネを外すと共にテーブルに置く。
「すごいすごいっ!剣聖様は魔神を倒して世界を護ったんだねっ!!」
幼い少年は聞かされた物語に興奮した様子で、しきりにすごい、と言う言葉を繰り返す。
「…ええ、そうよ。剣聖カズミと最初の仲間たちが頑張ってくれたから、この世界を護れたのよ」
そっと少年の頭に手を置き、撫でながら老婆は微笑ましそうに見る。
「それでそれでっ、剣聖様はその後どうなったの?」
少年は撫でられるのをくすぐったそうにしながら、興奮冷めぬまま尋ねる。
「…そうね…新しい仲間と共に、まだ残されている魔神の欠片を倒すため、世界中を旅して回っているそうよ」
「そうなんだぁ…ねえお婆様、僕も頑張って強くなれば剣聖様の仲間になれるのかな?」
何処か遠くを見るように顔を上げた老婆…少年の玄祖母に、少年が無邪気にそう尋ねると。
「…諦めなければ、どんなに大変でも頑張り続ければ、きっとお前も剣聖の力になれる…でもそれにはまず大きくならないとダメ」
玄祖母はそう言って
「…そろそろ寝る時間、もうおやすみなさい」
「はぁい…おやすみ、お婆様」
少年は玄祖母に促され、しぶしぶソファから降りて寝室に向かっていく。
それを遠い昔に殆ど視力を失った目で見送り、玄祖母は立ち上がると暖炉の上においてある色あせたポートレートを手に取る。
「…カズミ、すっかり貴女も誰かが憧れるような存在になったね」
エルクレストの門前で6人並んで取られたその写真の、中心に写る少女に話しかけるように。
「…私が後どれくらい生きられるかは分からないけれど…こうして、物語を読んで貴女の力になってくれる子が増えてくれることを私は願う…」
そう皺だらけの顔で笑いながら、テーブルの上に置いた物語…「剣聖カズミの軌跡」の著者トトゥーリア・プロミネンスは、これからも戦い続ける幼馴染に思いをはせるのだった。